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2023年公開の石井裕也監督作品。原作は2016年に相模原で起こった障害者施設をモデルにしていると言われている辺見庸の同名小説。

⚠️ Spoilers start below! Read at your own risk.

個人的には人の生き死ににそこまで強い感情が想起されないため中盤わからないシーンもあるのだけど、かなり本音を口にすることも憚られる現代におけるモラルと現実の歪みを生々しく突きつけてくるプロット。

中盤の宮沢りえと宮沢りえの仮想対話のシーンはセリフも演技も圧巻。個人的映画名シーンのかなり上位にランクイン。

しかし終盤に実際に殺人が実行される辺りから、日常イベントを重ねることで問題提起からフォーカスをぼかし、そして最後はただの殺人事件として収束させる処理をしている。

「わたしは絶対に認めない」

このセリフをピークとして、それ以降のピントの発散距離とスピードは半端ない。

実はこの「本音を口にすることも憚られる現代におけるモラルと現実の歪み」はマクガフィンであり、『その問題に正面から取り組まず理想論でのらりくらりと時間を稼いで自体が沈静化するのを待つサイクルを繰り返している偽善者で構成されているのがわたしたちの社会である』ということ提起しているのかもしれない・・・。

この映画がマクガフィンとしたかもしれない対象については、個人的にも色々と思うことはあるが、タブー無く本音溢れる古き良きインターネットが死に絶えた現代において「本音を口にすることも憚られる」ものに対する意見をブログに書いたりするのは最も憚られる行為である。

逆にセンシティブな問題をマクガフィンとして扱うことで、俯瞰して議論可能な構成にするのは映画が向いているのだということを強く再認識できた。

これは誰の眼も気にしない状態で、一人で深く観た方が良い映画だろう・・・。

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