ロマン・ポランスキー監督による1968年公開作品。若い頃に一度見たことがあるが、当時はゾンビやスプラッタ系全盛の時代だったので地味な印象であまり心に残っていなかった記憶。なんとなく検索にヒットしたので再鑑賞。
⚠️ Spoilers start below! Read at your own risk.
何十年かぶりに見て感想は180度反転。非常に素晴らしかった。
変哲のない日常に潜むかすかな不穏。妊娠期女性の精神の不安定さなのか判断つかない絶妙な匙加減で、これという確証を持たせないまま、不穏をジワジワと増幅させる物語と映像は素晴らしい。
主役のミア・ファローのポジティブな容姿も強く効果を出していて、天真爛漫で奔放な彼女と明らかに怪しい近隣住民という建付けでありながら、段々と彼女の容姿が変化するにつれ、実は近隣住民はただの過剰親切な人たちで彼女のほうがパラノイアになってしまっているのではないか?という映画鑑賞における観客の彼女への感情移入に対する不安が上乗せされる構造になっている。
これは唯一の理性的な味方として定義されたエドワード・ハッチが童話作家であり、彼の突然死が深堀りされないこと。また、助けを求めた産婦人科医とのやり取りと身柄引渡のエピソードがかなり効果を発揮しているように感じる。
エンディングですべての真実がクリアになったようにみえるものの、これが鎮静剤を打った後の悪夢ではないと断言できない微妙な時間軸設定により不穏が解消されることは無く、またそれが悪夢では無かったとしても悪夢であることからは逃れられないという悪夢の多段構造は精神的にかなりくる。
若い頃の自分では感じ取ることができなかった名作と呼ばれる所以を知ることができて良かったなー🐙