エイドリアン・ブロディ主演のアメリカ・イギリス・ハンガリー制作のドラマ映画。
タイトルの “The Brutalist” は1950年代の建築様式 “brutalism” に由来。これは1900年前半の “Bauhaus” の流れを汲むミニマルな様式で、本作の主人公も “Bauhaus” で建築を学んだという設定になっている。
以下ネタバレ?注意
ストーリーとしては、”Bauhaus” で建築を学んだ建築家が逃亡先のアメリカでアレコレする内容で、ユダヤ移民問題のエッセンスも薄く入っている。ノンフィクションのように見えるが実はフィクションでこの主人公は実在しない。
しかしこのストーリーについてどうにもピンと来るところが全くなくって、どちらかというとデザイン的な美しさがたまらない感じだった。
被写体(物)、構図、配色、カメラワークなど、映像がとても美しい。どのシーンを切り取っても単体の絵として成立するレベルだと思う。
個人的には、撮影したい美しいイメージボードが先に存在してて、それを無理なくつなぎ合わせるためのストーリーが構成されているように感じた(監督はアメリカ文化嫌いなのかしら?)
途中休憩を挟む4時間近い長尺だったけれど、映像の美しさにひたすら引き込まれている間にあっという間に終わってしまった。(ちょっと後半の展開が雑だったのが気になったけれど・・・)
映像だけでなく、オープニングとエンディングのスタッフロールとかもデザインが凝っていて楽しかった。
PS.1
エンドロールが斜めに展開していたのだけど、そこにDolbyとかのロゴが入っていたのだけど、各社ロゴの「Rotation NG」の規約をクリアしたのかー?とか変なところが気になった・・・😅
PS.2
ストーリーはあまりピンとこなかったと書いたけれど、建築家のアイデンティティと傲慢さが強く描かれている部分はデザインに関わる人間としてはちょっと身につまされる部分あった。
PS.3
本作の美術監督のインタビュー記事。本作影響を与えた建築として5つの建築が紹介されている良記事。
映画「ブルータリスト」に影響を与えた5つの建築
このブルータリズムについて掘り下げた記事も良かった。
賛否両論のブルータリズム建築を大解説! いま再注目される理由、ブロイヤーやコルビュジエらの挑戦etc. | ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)