さらに驚くのはそのスピードです。フランスの北西部にブレストという港町があります。パリからこのブレストにはだいたい550kmの腕木通信線が整備されていました(ネットワーク図参照)。そして、パリから発信された腕木通信の信号は、何とものの480秒後(8分後)にブレストに届いたといいます。これを秒速に直すと1,125m/秒。音速が約330m/秒ですから、音速の3倍以上の速さで信号が駆け抜けたことになります。
では、通信の開始です。まず、A地点の通信手が腕木の形状を変化させます。この様子を隣の基地の通信手が望遠鏡で確認します。そして自分の基地の腕木も同じ形状に変えます。同様に、それを見たさらに隣の通信基地も腕木の形状を変えます。この作業が次の通信基地、そのまた次の通信基地と、いわばバケツリレー式に送信され、最終的にゴール地点まで信号が届きます。
仕組みを踏まえると何がすごいって、通信手の確認と再現のスピードなんだろうな・・・。