「世界最大の旅行口コミサイトトリップアドバイザー®がプロデュースする旅をテーマにしたインフォグラフィックス専用サイト」だそうです。
見てるだけで楽しいですが、情報処理の負荷が下がる分、内容に対しての考察に労力を割くことができる。
デザインの効能を非常にわかりやすく体感できる、素敵コンテンツ。
例えば上記の「世界主要都市のタクシー料金比較」を見た時、まずタクシー料金が国によって異なることを理解し、その次にエリア、都市による料金傾向を視覚的に理解する。
ここまでがインフォグラフィックとして一気にコストをかけずに把握可能。
そこで節約されたコストを、料金差が異なる理由の考察に費やすことができる。
料金の異なる理由が貨幣価値の差なのか、都市密度による平均移動距離なのか?色々考えていくと、世界の様々な事象のつながりが見えてきて、そこから何か気づくことができるかもしれない。
インフォグラフィックの働きはそういう、情報の考察・分析の導入へのコスト削減部分にあると個人的には理解している。
そういう風に見ていくと、その先に関連付けて表示したい情報要素が追加できたりするインタラクティブ機能が追加されると便利だなと思うが、そのような機能を付けた場合、情報を伝えることに特化したグラフィックから、情報を構築するツールに変化することになり、少し位置づけが変化する。
Excelみたいな構成になってしまう可能性もある。
しかしそれでは導入のコスト削減の効果が失われてしまうわけで、グラフィックとしての初期インパクトを保ちつつ、機能を追加するのはバランス感覚が重要。
いわゆる「センス」という言葉で片付けられていた部分である。
近年この辺をメソッド化しようとする動きもあるが、個人的にはそのバランス調整時の検討範囲は非常に多岐に渡り、逆にそこを定型化することで、特出した解答に到達できないリスクを感じる部分があり、考察要素の選択自体がセンスだとしか言えないような気もする。
閑話休題
さて、情報に対しての考察と別に、デザイナーとしてはアウトプットとしてのグラフィックに対しての考察もインフォグラフィックスは比較的容易なので、ちょっとその辺の個人的な楽しみ方も簡単に書いておく。
- グラフィックを作成する際には、ある程度伝えたい結論を踏まえ構築されているはずなので、アウトプットを逆引きで考えてみる
- そしてその先に、では自分がそのお題でグラフィックを作成するとしたらどうするだろう?とスタディすること
これが最大の愉しみかもしれない。(批判的な意味でなく)
例えば以下の様なかんじ
- 横軸の距離は10km以前、以降でスケールが変化している、実スケール展開した場合要素が分散しグラフィックのインパクトが弱くなるためかな?
- しかし、それにより移動距離の差が視覚的にダイレクトに把握できなくなっている
- このスケールを変えている部分はもう少し工夫ができたのではないか?
- 例えば1位のインドの車体サイズが大きく表示されているが、数値的情報に基づいてサイズ設定する方法もあるかも(例えば距離差を補足する意味で、遠くに行ける車体を小さく表現したり)
- ただその3D的な表現を持ち込んだ場合、今の2Dのシンプルさによるインパクトが損なわれるリスクもある
- 排気ガスのスケールは差がないように見えるが、料金と消費ガス量の関連を意識させる意図は無さそう
- 車体形状がその都市の一般的なタクシーっぽいことに気づいた時に別軸の喜びがあって、他にも何か無いか探す起点になっていい感じ
- 料金制度(メーター、時間、交渉)をアイコン表現しているが、メーターはちょっとわかりにくいかも。
- エリアを表すピンの中にアイコンを入れても良かったのではないかしら?
- エリア区分はピンカラーでなく、都市名称を色で囲んだほうが意味付けは強いのではないか?
- ただその場合、都市名称の長さに色バランスが左右され、散漫なグラフィックになるリスクを回避するためのピンなのかも
- エリア区分の汎例を右肩に配置したのは、エリアによる差の認識のプライオリティを少し下げているのかな?
- もっともグラフ系の凡例は右肩にあることが多いので、それを踏襲しているだけかもしれない
- もしエリア区分の傾向を強く見せたい場合は、地図ベースで距離を縦方向の棒グラフにする方向もあるなあ
- などなど・・・
正解は無いので、正しい、間違っているなんて結論ではなく、あくまで可能性に対しての推測と妄想。
表層的な話ではなく、思考を鍛えるという意味で、こういう作業はとても楽しく勉強になるんじゃないかなと思う。
この業界に入った時には意識的にグラフィック、WEBに対して実行してましたが、振り返ると良い勉強になったんじゃないかなと思います。結果、目に入るものに対して無意識にそれが発動してしまうようになり、街に出るととても疲れて、引きこもるようになったというなんとも微妙な現状ではあるけれども・・・
なんだかまとまりのない話になりましたが、
- インフォグラフィックスはそこから色々考えるのが楽しい
- 世に存在している人が作り出したものには、人の意志と思考が潜んでおり、それを妄想するのも楽しい
- それらから得た何かで、何かを作るのも楽しい
という感じでしょうか・・・
人生楽しんでいきましょう!